天文学は観測技術の向上や様々な探査機の成果により、昔の本と今の本では書いている内容に大きな違いがある事があります。
50年くらい昔のある本に
「木星は周りの塵を集めて質量が増え続け、30億年後には核融合が始まるだろう」
なんて書いてありましたが、現在の知見では惑星の質量ってそんなに増えたりしません。
木星より遥かに重い褐色矮星ですら、核融合は起きていないと聞きます。
■木星の質量増加について
太陽系形成の初期段階(約46億年前)には確かに惑星は周囲のガスや塵を急速に集めて成長しました。しかし、現在の太陽系は既に安定した状態にあり、木星が集められる物質はごくわずかです。
– 太陽系内の塵やガスのほとんどは既に惑星や太陽に取り込まれているか、太陽系外へ吹き飛ばされています
– 現在木星に衝突する物質(隕石や彗星など)の量では、有意な質量増加は見込めません
– 30億年程度では、木星の質量はほとんど変わらないと考えられています
■核融合に必要な質量
木星が恒星になるには、現在の質量の約80倍が必要です(太陽質量の約0.08倍)。
そして褐色矮星は木星より遥かに重い天体です。
– 褐色矮星は木星の約13〜80倍の質量を持ちます
– 13倍以上で重水素の核融合が可能になりますが、これは一時的なもの
– 通常の水素の核融合には約80倍以上が必要です
つまり、木星が恒星になるには現在の質量から約80倍に増える必要がありますが、太陽系にはそれだけの物質が残っていません。
古い本が書かれた時代は、太陽系の進化や惑星形成についての理解がまだ限られていたのかもしれません。
ですので、科学の世界では新しい本を積極的に読むようにしましょう。